下肢静脈瘤専門外来
下肢静脈瘤専門外来
下肢静脈瘤は「日帰り治療」で治ります。
正確には初診→手術→術後チェック(1~2日後)→1週間後チェック→1か月後チェックの5日の受診で完治を目指せます。
エコー検査で病気の本体である静脈弁不全について評価します。外来で5分程度で可能です。
大伏在静脈と小伏在静脈が治療対象になります。いずれかに弁不全の兆候や、超音波検査上で0.5秒以上の血液の逆流が認められた場合、保険適応で手術治療の対象となります。
静脈瘤による症状が伴っている場合は早期に手術を予定させていただきます。
こむら返り、足のだるさ、見た目の瘤、下肢疼痛、表在の血栓など。
静脈瘤を治療せず放置していると、少しずつ病態が悪化して治しにくく(治せなく)なることもありますので、自覚されたら早めの受診をお勧めします。
いずれも日帰り治療が可能です。
治療内容:血管内焼灼術+瘤切除
費用:短期滞在手術(日帰り) 3割負担→約41,000円、2割負担→約28,000円、1割負担→約14,000円
治療の主なリスク・副作用:穿刺部の内出血、疼痛、瘤切除部の血腫、色素沈着、術後出血、血栓性静脈炎、深部静脈血栓
治療内容:硬化療法(短期滞在手術)
費用: 3割負担→約14,000円、2割負担→約9,500円、1割負担→約4,700円
治療の主なリスク・副作用:穿刺部の内出血、疼痛、瘤切除部の血腫、色素沈着、術後出血、血栓性静脈炎、深部静脈血栓
治療内容:硬化療法(短期滞在手術)
費用: 3割負担→約14,000円、2割負担→約9,500円、1割負担→約4,700円
治療の主なリスク・副作用:穿刺部の内出血、疼痛、瘤切除部の血腫、色素沈着、術後出血、血栓性静脈炎、深部静脈血栓
治療内容:硬化療法(短期滞在手術)
費用: 3割負担→約14,000円、2割負担→約9,500円、1割負担→約4,700円
治療の主なリスク・副作用:穿刺部の内出血、疼痛、瘤切除部の血腫、色素沈着、術後出血、血栓性静脈炎、深部静脈血栓
下肢静脈瘤の原因になりやすい血管は主に2つ、足の付け根(鼠径部)から太ももの内側を通り、膝下内側に続いている「大伏在静脈」と、膝裏中央から下腿裏面を通り、足首まで続いている「小伏在静脈」です。
根本的な静脈瘤の「病態」は、一言で言うと「静脈の逆流」です。上記2本の血管は末梢から心臓に帰っていく血流を有していますが、血管内部の逆流防止弁が年齢やホルモンバランス、立ち仕事の負荷などで弱くなり、破綻することで血管内で血液の逆流が生じます。結果として、血液が渋滞を引き起こし、膝下で圧が高まり、血管の壁が膨らんでコブになります。
静脈瘤の症状で、もっとも多いのは「こむら返り」に悩まされることでしょう。夜中に足がつって目が覚めることはありませんか?1週間に何度も続くようなら一度調べてみるほうがいいかもしれません。
他にも、「足がだるい」「かゆみ・むずむず感」などの症状が出ることがあります。長期間治療しないでいると、慢性炎症状態を引き起こし「色素沈着」が出てきたり、小さな傷がなかなか治らない「鬱滞性潰瘍」につながることもあります。
静脈瘤で命を落とすことは、ほとんどありません。しかし、高齢者が静脈瘤を発症した場合、上記のような症状のため生活の質は低下し、歩行機能に影響する場合も見られます。足以外はお元気なのに、静脈瘤のせいで車椅子生活を余儀なくされ、そのまま寝たきりへ、という状況にもなりかねません。発見したら、治療をしておくことがよいでしょう。
下肢静脈瘤は名前からイメージできるように、下腿の静脈が膨らみ、コブ状にボコボコと突出してくるような状態です。大伏在静脈という足の付け根くらいから分岐している表在静脈と、膝裏少し上から分岐している小伏在静脈の2本がトラブルを起こしやすい血管です。
人間の血管は「心臓から血液を末梢に送り届ける動脈」と「末梢から心臓に血液を送り返す静脈」の2つが主ですが、下肢静脈瘤でトラブルを起こすのは名前の通り「静脈」です。大伏在静脈も小伏在静脈も足の血液を心臓に戻していく血管であり、重力に逆らって心臓に戻って行くため、血管の中に弁が多数存在しています。
これにより一方通行の流れになり、末梢から心臓に向かって血液が組み上げられて回収されていくようになります。
立ち仕事や肥満、高齢、妊娠後など、静脈弁に負担がかかる状態が続くと弁が破綻して血管の中で血液が一部逆流してしまいます。大腿から徐々に末梢にむけて逆流による負荷が強くなり、膝下あたりから血管への圧力が過剰になり、静脈が膨隆してコブ状に拡張してしまいます。
最初は小さなコブでも放っておくと、徐々に程度がひどくなり、見た目も気持ち悪いくらいの凸凹になります。中にはコブのない静脈瘤もあります。
手術費用のみの費用です。実際は検査費用や麻酔、薬の費用、短期滞在療養費用などが付加されます。
K617
1 抜去切除術 10,200点
(3割負担:30,600円、1割負担10,200円)
ストリッピング法による静脈抜去術です。2箇所小切開して原因血管を抜去します。
2 硬化療法(一連)1,720点
(3割負担:5160円、1割負担1,720円)
ポリドカスクレロールを用いた注射による小血管の硬化療法です。蜘蛛の巣状静脈瘤に適応になります。
3 高位結紮術 3,130点
(3割負担:9,390円、1割負担3,130円)
原因血管の上流を結紮切離する低侵襲治療です。
4 静脈瘤切除術 1,820点
(3割負担:5,460円、1割負担1,820円)
瘤になった部分を局所的に摘出治療します。
K617-4 下肢静脈瘤血管内焼灼術 10,200点
(3割負担:30,600円、1割負担10,200円)
血管内にカテーテルを挿入して内部から焼灼し、閉塞させる治療です。
K617-6 下肢静脈瘤血管内塞栓術 14,360点
(3割負担:43,080円、1割負担14,360円)
原因血管内に接着剤(グルー)を注入して閉塞させる治療です。
下肢静脈瘤の治療の一つに「血管内焼灼術」という方法があります。皮膚を切らずに針(カテーテル)を刺し、悪くなった血管の中にカテーテルを通すことで治療が可能です。血管内焼灼術はどこの施設でもできるわけではなく、実施認定施設でのみ対応が可能です。症状と治療法、その後のケアについても紹介します。
高周波による血管内焼灼術は、2014年6月に保険適応されたもので、ラジオ波ともよばれます。
血管内に細いカテーテルを通し、高周波の熱を用いて血管内から逆流している「壊れた」静脈を焼いて、内腔を熱損傷させて閉塞させます。カテーテルの先端7cm部分(3㎝のカテーテルもあり)が加熱され、120℃の熱を発生させて、接している血管を焼きます。
治療時間も短く、スムーズにいけば30分程度、血管の穿刺や挿入に時間がかかっても1時間以内でおさまることがほとんどです。
下肢静脈瘤に対する血管内焼灼術では従来のストリッピング手術と比べて、術中と術後の痛みがほとんどありません。術後の内出血もほとんどありません。
血管内焼灼術では、針を使ってカテーテルを静脈内に挿入し治療を行うため、手術後の傷は針の穴だけになります。針穴は小さいので糸で縫合などは行わず、自然に縮むのを待ちます。
ボコボコと膨らんだ静脈瘤の追加切除を行った場合も針穴からstab avulsion法という、瘤を直接部分的に引き抜いてくる手技を行うのでほとんど傷跡が残りません。
手術翌日から普通に仕事ができます。自営業の方や忙しい主婦の方でも気軽に手術を受けることができます。
治療後5 年で静脈閉塞率が92%という研究結果が報告されています。
瞬間剤により逆流を来している病的な静脈を内腔から接着して閉鎖させる治療です。治療メカニズムは、血管内レーザー焼灼術や高周波(RF)焼灼術と同様に、カテーテルを用いてデバイスを病的血管内に挿入し血管を閉塞させて逆流を止めるという方法です。
接着剤を英語でglueと表現することから「グルー治療」と呼びます。
日本では2019年4月に薬事承認され(VenaSealクロージャ―システム 日本メドトロニック)、12月に保険収載されました。
下肢静脈瘤に対する従来の根治治療は、10年ほど前まではストリッピング手術でしたが、少しずつレーザーによる血管内焼灼術やRF(高周波)による血管内焼灼術に進化してきました。グルー治療によりさらに下肢静脈瘤の治療はさらに低侵襲化しました。
グルー治療の最大のメリットは「TLA麻酔が不要」という点です。レーザーやラジオ波による血管内焼灼術では血管内を熱により処理するため、TLA麻酔(血管の周囲にたくさん局所麻酔を注射する)が必要になります。グルー治療は接着剤による閉塞なので、熱刺激はありません。そのためTLA麻酔が不要であり疼痛が大きく緩和されます。
まだ新しい治療なので、長期成績や重症例への効果が十分蓄積されていません。海外の実績は多いのですが、まだ日本に入ってきてからそれほど経過していませんので、安全をみて比較的軽症の静脈瘤が適応となります。
またグルー治療で使う接着剤は体内に吸収されることなく、血管内に残存します。遅延性アレルギーを生じる可能性が(稀ですが)報告されています。重症化すると血管を摘出する必要がでるとも言われています。グルーにアレルギーがある方や、アレルギー体質の方は適さないと言われています。
弁不全を起こして逆流している静脈を抜去する方法です。
鼡径部と下腿部の2ヶ所を切開し、弁の壊れた大伏在静脈内にワイヤーを通して、ワイヤーごと血管を引き抜きます。また、必要に応じて静脈瘤の切除も行います。
以前はこの手術が治療の主流だったのですが、現在は血管内焼灼術で治せるようになり保険適応もあるので、ストリッピング術は、血管内焼灼術が適応外の患者様の選択肢になります。
瘤の血管径があまりに大きい場合など内腔からの焼灼では治療が難しいと判断した場合にこの治療を選択します。
蜘蛛の巣状静脈瘤の治療は、拡張した血管に直接硬化剤を注入して、癒着させ招待させる「硬化療法」の適応になります。
「ポリドカスクレロール」という薬剤を注入して圧迫します。かなり細い血管であれば直接注射を、少し太めの瘤であればフォーム状にして血管内に注入します。
単に注射して圧迫するだけなので、それほど苦痛を伴う治療ではありません。日帰りで十分対応可能です。
上記治療後は基本的には1か月間ほど、弾性ストッキングの着用をお願いしています。圧迫を怠ると、残った残存瘤のなかに血栓が生じ、血栓性静脈炎を生じる場合があります。1度生じると、改善するのにかなり時間が必要になります。
1か月弾性ストッキングを着用した後も、長距離移動を伴うお出かけの際はなるべく弾性ストッキングを着用するように指導しています。
実際自分も(静脈瘤ではありませんが)、長時間手術がある日などは弾性ストッキングを履いています。健常人でも立ち仕事が長くなると下腿の血液の淀みが筋層に影響し、夜間にこむら返りを起こすことがあります。静脈瘤がない方にも弾性ストッキングはおすすめです。
先日弾性ストッキング・圧迫療法コンダクターの認定を取りました。
慢性静脈不全症を伴う静脈潰瘍の患者様に対しては保険適応で弾性ストッキングを処方することが可能になりました。現状の制度では静脈瘤の手術後の患者様には、まだ適応にならないので、更に適応拡大を期待しています。