
難治性潰瘍・褥瘡
難治性潰瘍・褥瘡
― 難治性潰瘍・褥瘡への取り組み ―
難治性潰瘍や褥瘡は、一度できてしまうと治癒までに長い時間を要し、再発を繰り返すことも少なくありません。ご自宅で療養されている患者さんやご家族にとっては「もう治らないのではないか」と不安を抱えることも多いでしょう。
なかにし形成外科クリニックでは、形成外科医の専門的な視点から、潰瘍や褥瘡に対する積極的な治療を行っています。そして、通院が難しい患者さんに対しては、「訪問看護ステーションはれのわ」との連携体制を整え、自宅にいながらも適切な創傷ケアを受けられる仕組みを築いています。
在宅と通院、両方で対応できる安心感
潰瘍治療は、病院やクリニックに通うことでしか進められないと思われがちですが、在宅でも十分に「治癒を目指す」ことが可能です。
当院では、患者さんの状態に合わせて 通院治療と訪問看護を組み合わせた最適なプランを提案します。通院が可能な方はクリニックで定期的な処置や再評価を行い、難しい場合は訪問看護師がご自宅を訪問し、医師の指示に基づいて創傷管理を行います。
創部環境と生活環境を整えることから
潰瘍や褥瘡の治療は「傷そのものを処置すること」だけではありません。栄養状態、体圧分散、生活動作の工夫など、創部を取り巻く環境づくりが治癒の大きな鍵を握ります。
私たちは患者さんご自身とご家族と一緒に、ベッド環境や体位変換の方法、日常生活の工夫などを考え、時間をかけて少しずつ治癒に向かう方針をとっています。
“治す”をあきらめないために
「もう治らない」「どうせ悪化するだけ」と思ってしまう前に、ぜひ一度ご相談ください。
当院と訪問看護ステーションはれのわが連携することで、在宅療養中の患者さんも諦めることなく創傷治療に取り組むことができます。
難治性の潰瘍や褥瘡でお困りの方、またご家族を支える中で悩まれている方は、まずはなかにし形成外科クリニックへご相談ください。
なかにし形成外科クリニックでは、【訪問看護ステーションはれのわ】の看護師と連携し、週に1回「創傷カンファレンス」を実施しています。
このカンファレンスでは、潰瘍や褥瘡の患者さんの処置内容や創部の経過を丁寧に振り返り、看護師と医師が情報を共有し合います。
創傷治療は「処置を行えばよい」という単純なものではありません。患者さんの生活習慣、栄養状態、使用している寝具やポジショニング、さらにはご家族の介護状況など、多くの要素が治癒経過に関わってきます。そのため、一人の視点だけで判断するのではなく、チーム全体で多角的に検討することが重要です。
カンファレンスでは、
創部の写真や記録をもとに、現在の治癒状況を共有
処置内容が適切かどうかを再評価
必要に応じて処置方法や使用する被覆材の見直し
栄養・生活環境・体位変換など周辺要因へのアプローチ方法を検討
といったプロセスを行っています。
また、主治医へのフィードバックや処置内容の調整も大切な役割です。現場で看護師が感じた小さな変化や違和感も見逃さず、医師とすぐに共有することで、治療方針を柔軟に修正することができます。これにより、在宅であっても病院レベルに近い質の高い創傷ケアを提供できています。
このように、週1回の創傷カンファレンスは「ただの打ち合わせ」ではなく、患者さんにとって最適な治療をチームで探し続けるための大切な時間です。チーム全員が同じ方向を向き、情報を共有することで、難治性潰瘍や褥瘡の患者さんにも「治る可能性」をあきらめないサポート体制を整えています。
在宅での創傷治療に効果的なNPWT(陰圧閉鎖療法)も積極的に導入。
特別訪問看護指示書を活用し、2週間~4週間の集中的な治療プランを提供します。ご自宅でも病院レベルの創傷管理が可能です。
持続陰圧療法という専門的なツールを使って、在宅で高度な創傷治療を受けることもできます。
訪問看護ステーションはれのわには在宅NPWT認定教育制度の認定講習会OSCE修了看護師も在籍しています。
褥瘡治療の最大のポイントは「除圧」です。
当院では身体状況に合わせた最適な除圧具のご提案も行っています。市販品や保険適用の除圧用具も含め、使いやすさと効果を考慮してサポートします。
例えば自動で除圧対応してくれる「自動体位変換エアマットレス」などの導入を検討するのも一つの方法です。
介護保険(1割負担)であれば月額1000円程度の負担で導入が可能です。
適切な介護用品の導入のアドバイスを受けれるのも、訪問看護を利用するメリットの一つです。
「なかなか傷が良くならない」「自宅での処置に限界を感じる」
そんな時こそ、私たちにご相談ください。専門的な視点と確かな連携で、“治す”ためのケアをお届けします。
褥瘡は除圧と適切な創部管理(処置)が最重要です。そして創が治っていくには時間が必要です。
初診時にはこのような難治性の潰瘍でも
除圧と適切な管理で周囲から上皮化が進み
だんだん縮小していきます。形成外科専門医と訪問看護のスタッフで環境や悪化要素、処置の具体的な内容を常に検討して改善に繋げます。
時間をかけて完治しました。
治ったあとも予防が大切です。訪問看護で予防ケアもアドバイスできます。
「訪問看護ステーションはれのわ」では、形成外科医が監修する訪問看護体制のもと、褥瘡や難治性潰瘍の在宅治療に取り組んでいます。医師と看護師が密に連携し、ご自宅でも質の高い医療を届けます。
なかにし形成外科クリニックでは、難治性潰瘍・褥瘡の細やかな治療の実現のため、グループ施設の「訪問看護ステーションはれのわ」と連携して、在宅にて治療を進めていきます。
難治性潰瘍や褥瘡の治療を在宅で受けたい方は、以下のいずれかの方法でご相談ください。
① まずは「なかにし形成外科クリニック」に受診・相談
当院を受診いただければ、医師が創部の状態を診察し、在宅での治療が可能かどうかを判断いたします。通院治療が望ましい場合はそのまま当院で処置を行い、通院が難しい場合には訪問看護と連携した治療方針をご提案します。
② 「訪問看護ステーションはれのわ」に直接ご連絡
はれのわに直接ご連絡いただいても構いません。担当看護師がご相談内容を伺い、必要に応じてクリニックと連携して対応を進めます。
主治医がいらっしゃる場合
すでに他院に主治医がいる方は、主治医に訪問看護指示書を記載していただくことで、「はれのわ」から訪問看護を行うことが可能です。医師と看護師が連携し、在宅での創傷ケアをサポートいたします。
入院中の方への対応
現在入院中で「潰瘍が原因で自宅に帰れない」とお困りの方も、まずはなかにし形成外科クリニックまたは訪問看護ステーションはれのわへご相談ください。条件によっては退院後すぐに在宅での訪問看護対応が可能となる場合もあります。