外傷・きずあとの形成外科診療|なかにし︎形成外科クリニック|近鉄生駒駅の形成外科・美容皮膚科

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外傷・きずあとの形成外科診療|なかにし︎形成外科クリニック|近鉄生駒駅の形成外科・美容皮膚科

<外傷・きずあとの形成外科診療>

外傷【やけど(熱傷)】

やけど(熱傷)の治療と治るまでの期間

やけど(熱傷)は受傷した深さによって治る期間が違います。皮膚の浅いところだけのやけどであれば赤くなるだけで済む場合や、水ぶくれができて、それが引いてきたら皮膚が貼って治っているような場合が多く、2週間以内に治ります。より深いやけど(熱傷)になると、水ぶくれの下が治らず、3〜4週間の治療期間、場合によっては手術治療が必要になります。

深さ・広さによって治るまでの期間が変わる

やけどの深さの分類にはⅠ度、Ⅱ度、Ⅲ度の3段階があります。そのうちⅡ度はさらに浅達性深達性に分けて考えられるため、4段階といったほうがよいかもしれません。

度(ED:epidermal burn)

皮膚の浅いところ(表皮の内部)にとどまるやけど。皮膚が赤く腫れたり、ヒリヒリしたりしますが、1〜2日で症状は治まり、特に傷跡やひきつれは残らず綺麗に治ります。

浅達性Ⅱ度(SDB:superficail dermal burn)

皮膚の少しふかいところ(真皮の浅いところ)までのやけど。たいていは水ぶくれを作ります。周囲は赤く腫れ、初期はとても痛みが強くなります。水ぶくれは受傷初日よりも2−3日後のほうが強く膨らんでくることが多いですが、数日でピークを過ぎると中の水分が吸収されて平坦に引いてきます。そのまま感染を生じずに収まると、水ぶくれだったところの薄皮がめくれて、きれいにピンク色に上皮化して治癒します。おおよそ2週間〜3週間くらいかかります。

深達性Ⅱ度(DDB:deep dermal burn)

真皮のより深いところまでやけどが及ぶと、深達性となります。水ぶくれのさらに深部の皮膚が白く変色している場合が多く、皮膚の深部の血管網にまで影響している状態です。この深さまでやけどが及ぶと、同じくらいの深さに存在する毛根や汗の腺、末梢神経網もやけどで障害されてしまうので、場合によっては痛みが強くなったり、部分的には感覚がなくなったりします。皮膚の深部の毛穴がわずかに残っているとそこから皮膚が伸びてきて上皮化しますが、4週間以上必要になることも多くなります。治癒後もひきつれや傷跡を残すことが多く、後遺症となります。

Ⅲ度(DB:deep burn) 

皮膚全層からその深部に至る深いやけどです。水ぶくれなどを通り越して、皮膚が焼け焦げていたり、真っ白に乾燥していたり、感染を生じてジュクジュクしていたり色々です。ここまで深くなると皮膚をすべて除去して、新しく移植したりして「張り替える」必要があります。治療期間は1ヶ月以上必要です。まずやけどで損傷した皮膚をすべて除去して下床の状態を整えるのに2−3週間、そこから皮膚移植を行い、安定させるのに2−3週間は最低限必要になります。皮膚がうまく張れたとしても、ひどい傷跡になったり、ひきつれで動きに制限が出たり合併症・後遺症は色々と生じます。それらに対しても地道に治療を行なっていくことで徐々に安定していきます。

早く綺麗に治療するコツ

とにかくやけどの治療は感染の制御と、創部の環境のコントロールが重要です。いかに菌を繁殖させないで、皮膚の細胞が広がりやすい適切な浸潤環境をキープできるか。

皮膚の細胞は乾燥していたり、何か邪魔になるもの(壊死した組織やガーゼなどの異物)が存在すると細胞の移動・遊走が遅れて治癒の速度が遅くなります。適切な浸潤環境をキープすると細胞の治癒が順調に進み、結果として早く治ります。

ただし、浸潤環境を保つと皮膚に付着した細菌も増殖しやすくなります。細菌の数が一定数を超えると、皮膚に障害を生じます。赤く腫れて臭いを生じ、感染状態に陥り、治癒遅延を生じ、さらには皮膚細胞の壊死、傷の拡大に至ります。適度に除菌しながら環境も整えていく必要があります。

細菌を減らしていく方法としては、最も簡単なのは「洗浄」です。水で洗い流すことで細菌の数はへり、傷の表面の汚染物質は浄化されます。毎日創部を洗浄することで重度な感染を生じる率は激減します。感染リスクが怖い創部であれば、とにかく洗浄します。1日2回洗浄する場合もあります。デメリットは処置の手間です。感染リスクが減ってきた場合は、被覆材などをうまく利用して処置の手間を減らしていきます。

被覆材は素材の特性や、創部浸出液の量をしっかりと理解して使用していれば、非常にすぐれた材料だと思います。ただ、使い方や使用する場面を誤り、感染を招いてしまう場合も少なくありません。貼りっぱなしで良いというメーカーの説明を鵜呑みにしている医師も多数います。被覆材は銀を含有していてもそれほど除菌効果はありません。救急外来で被覆材を貼られ、3−4日貼りっぱなしで浸出液にまみれて、軽い感染状態で来院する患者さんは大変多く見られます。3−4日ならまだいいのですが、救急で貼ったまま剥がすタイミングもわからず(説明を受けておらず)2−3週間後に形成外科に訪れる人もいます。被覆材の功罪の一つです。毎日傷を洗浄し、ゲンタシンとガーゼ保護交換していてもらった方がよっぽど綺麗です。

とにかく傷に手間をかけることが、安全に早期に治療に導くコツだと思います。やけど(熱傷)も、外傷も、褥瘡も難治性潰瘍も基本原理は同じです。しっかりと創部の状態を見極めて、毎日毎日手間をかけて丁寧に処置管理を行うことが、綺麗に早く直す最大のポイントだと考えています。

外傷【鼻骨骨折の治し方】

顔面の骨折の治療は形成外科で行います。なかでも鼻骨骨折が最も件数が多く、手術になる例も多くみられます。過去には1週間に4件続いたこともありました。鼻骨骨折の整復の仕方は単純で、「骨がずれたところを元に戻す」だけです。他の部位の骨折のようにピンを打ったり、ネジで止めたりはしません。単純なのですが、治療上のポイントはいくつかあります。いかに患者さんにとって「痛みが少なく」「楽」に受けてもらえるか、解説します。

全身麻酔か局所麻酔か

鼻骨骨折の中には、左右の一方だけ、それも1箇所のみが骨折してずれて段差になっているような、程度の「軽いもの」と、複数箇所が骨折してバキバキに粉砕しており「変形の高度なもの」があります。

軽症例は局所麻酔で対応可能で、粉砕骨折状のものは整復や固定に時間がかかるので全身麻酔のほうが患者さんにとっては「楽」だと思います。全例、局所麻酔で行うことも無理ではありませんが、患者さんの不安や恐怖心が強い場合もあり、手術の内容や患者さんの性格などを総合的に判断して、全身麻酔のほうが良いと判断する場合は1泊2日程度の短期入院で対応します。

全身麻酔で行う場合、患者さんは痛みを感じないので術者は気が楽です。思う存分整復して、内部から折れた鼻骨を持ち上げてスポンジで中から持ち上げるように固定、ギプスを上から当てて終了します。術後の鎮痛のために点滴を入れたり、多少浸潤麻酔や局所麻酔を併用することもあります。患者さんは寝ているうちに終わりますし、喉元に血液が流れても挿管されているので、患者さんはむせることもなく、落ち着いて手術を行うことが可能です。

局所麻酔の場合は、痛みをなるべく感じないようにするためいくつかの手順を踏んで麻酔を行います。

まず鼻腔内に麻酔の染みたタンポンガーゼを数枚挿入して鼻腔粘膜から麻酔を効かせる浸潤麻酔を行い、それが効いてくるまでの間に眼窩下神経ブロックという伝達麻酔を頰の中央付近の神経の出口に向けて局所麻酔で施行します。鼻全体がじんわり位痺れてきたら、鼻腔内に詰めていたタンポンガーゼを抜去して、鼻腔粘膜側から骨折部に直接局所麻酔の注射を行います。骨折部の前面と裏面、鼻中隔にも局所麻酔の注射を行います。左右とも施行するとほとんど鼻の骨折部周囲の感覚はなくなります。麻酔するだけで15~20分程度かけています。

局所麻酔がうまく効いていれば、骨折部を整復する時の痛みはほとんどありません。ただし局所麻酔の場合、意識もあり、喉元に血液が流れたりするとむせるので、時々吸引したりしながら、出血への配慮も必要になります。なるべく一瞬で整復を完了させて、スポンジによる内固定とギプス外固定をスムーズに行います。手間取ると呼吸が苦しくなりパニックになってしまう患者さんもいるので、整復に時間がかかったり、患者さんが怖がりの方だったりする場合は全身麻酔を選択しておくほうが結果的には安全だと思います。

手術は一瞬で終わる時も

片側の骨折だけで、ずれて凹んだだけの骨折であれば、手術はあっという間に終わります。金属製の棒のような器具を、鼻腔内から骨折で凹んだ部位の裏側に挿入して、外側から骨折部を触って陥凹を感じながら「パキ」っと整復します。局所麻酔であれば、本人も整復時の「音」を感じます。エコーで骨折前のずれは必ず確認しておき、整復後にどう変化したかを確認します。綺麗に整復されていれば、手術終了です。早ければ手術操作自体は5分ほどで終わります。

うちでは鼻腔内に「メロセル」というスポンジタイプの固定具を用いています。ギプスには「アクアプラスト」という熱可塑性プラスチックを用いています。前額部と両頬で支えて、鼻骨整復部に外力がかからないようにします。ギプスはテープで固定します。

鼻骨骨折整復術の費用について

手術のコードは「K333: 鼻骨骨折整復固定術」になります。点数は2,130点です。1点10円の計算ですので、21300円が手術費用です。そのうち、3割負担の方であれば6390円、そこに局所麻酔や入院・全身麻酔の費用がプラスされます。

案外安いと感じるのは自分だけでしょうか?中にはバッキバキの骨折もありますが、程度にかかわらず上記の手技で行う場合はすべて同額です。保険診療の点数って、手間や難しさを無視した設定のものもありますが、その1つかもしれません。できれば整復の容易なものと複雑なもので点数を変えて欲しいところです。

痛みない治療がコツ

鼻骨骨折は比較的簡単な手術です。ただし局所麻酔で整復するときに「痛みをなるべく感じさせない」のが臨床上のポイントになります。

運動系の部活で若者が鼻骨骨折を受傷することがよくあります。近くの耳鼻科や形成外科で、その場でほぼ無麻酔で整復されたりする場合もあり、その場合は痛みを強烈に感じます。若者(中高生)は部活で体験談を話すので、同じように部員が骨折したら皆、そのエピソードを思い出し恐怖で震え上がります。

治療は簡単なのですが、いかに痛みを抑え患者さんが安心して治療を受けられるかを考えることが鼻骨骨折のコツだと思います。

きずあと【きずあとが膨らむ –ケロイドか肥厚性瘢痕か–】

怪我の痕や手術の痕が膨らんで、痒みが出たり、痛みが出たりすることがあります。「ケロイド状に膨らんだ」などと表現することもありますが、本当の体質から発生している真の「ケロイド」は意外と少ないです。大半は「肥厚性瘢痕」と呼ばれる、体質に関係なく外力が影響して傷が膨らんだ状態であり、手術治療により改善が望めます。

ケロイドと肥厚性瘢痕の見分け方

両者は見た目だけでは区別が難しいと思います。定義としては、最初の傷の範囲を超えていない状態、すなわち傷の上だけが膨らんできて、傷の周りには広がっていかない瘢痕が「肥厚性瘢痕」であり、それとは異なり傷を超えて周りにどんどん広がっていく様な瘢痕が「ケロイド」です。

どちらも症状は似ています。痛みや痒みを伴うことが多く、治療後に再発しやすいという点でも似ています。

治療

①圧迫療法・固定療法

膨らんだ創部に対してスポンジを当ててテープなどで圧迫を継続する治療です。必ず効くわけではありませんが、うまく固定できると1−2ヶ月かけて徐々に膨らんできた瘢痕が平坦になってきます。テープで固定が必要なのでテープかぶれを起こしたりするデメリットもありますが、手間さえかければできる治療なので一度試してみる価値はあります。

瘢痕化が予想される創部に対しては、予防的に術後早期から傷の圧迫・固定に使用する被覆材を使用します。当院ではアルケアの「ピタシート」という製品を用いています。

②ステロイド含有テープ

痛みや痒みの症状を抑えたいときにはステロイド含有テープが有効です。ステロイドの薬剤の強さで2種の製品があります。

通常は「ドレニゾンテープ」を用います。もう少しステロイドの強度が強いテープとして「エクラープラスター」があります。ドレニゾンのほうがフィルム状の透明なテープなので、最初はこちらから使用してもらうことが多いです。もう少し強い効果が欲しい場合にはエクラープラスターに変更します。エクラープラスターのほうが少し厚みのある素材でできています。傷の状態に応じて使い分けています。

③手術療法

中には手術加療で切除して埋没縫合をしっかり効かせれば再発なく治癒する瘢痕もあります。外傷による瘢痕の場合は初期の傷が埋没縫合をしていない場合も多く、挫滅を伴う創部が保存的に治癒して肥厚性瘢痕を生じている様な場合には単純切除も効果的です。

外力に反応して傷が肥厚している部位に対しては単純に切除縫縮するだけでは再発する可能性が高くなります。外力を逃すためにZ形成術という手技を用いて治療します。直線の瘢痕よりもジグザグに縫い上げるZ形成術の方が外力が分散されるため、再発が抑制されます。見た目が幾何学的な傷跡になることが欠点です。

④放射線療法

真性ケロイドの場合、手術を行っただけでは容易に再燃してしまい、それどころか、もともとの傷の大きさを超えて再燃させてしまう場合もあります。どうしても真性ケロイドで手術を要する場合、手術の方が良いと判断した場合については術後電子線を照射します。術後早期の傷跡に電子線を照射すると、傷のケロイド化を抑制する作用が報告されています。色素沈着や皮膚障害などの合併症もあるため、適応を十分検討して行います。

きずあと【術後の傷を少しでも綺麗に落ち着かせる方法】

「手術や怪我の痕をきれいに治したい。」そういうときは形成外科を受診しましょう。

術後の傷跡を少しでも綺麗に落ち着かせるには、後療法が大切です。手術時に切開の角度やデザイン、埋没縫合など、色々と工夫をするとより綺麗に安定化できますが、今回は「救急で縫合された傷」や「すでに手術が終わったあとの傷」に対して、今から出来ることを説明します。

テーピングによる固定を1ヶ月

術後の傷に対して、テーピングで固定する「テーピング療法」は形成外科術後では一般的に行われています。テープの種類は色々ありますが、「3M ネクスケア マイクロポアテープ(茶色)が推奨です。

テープを傷の上に直接貼ります。傷に対して横切るように固定するのが理想ですが、小さい傷であれば上から貼るだけで効果がでます。

テープは紙で出来ており、伸び縮みしないので、傷を直接テーピングで固定することで、皮膚にかかるテンションが分散されます。傷に対する「添え木」のような役割で、傷を安静に保つことができます。

一度貼付したら、2〜3日はそのまま貼りっぱなしでOKです。入浴時も貼ったまま入れます。水に濡れても、しばらくすれば紙で出来ているので乾いて乾燥します。剥がれなければ1週間くらいそのままでもいいです。交換時には、糊が皮膚に残ることがあるので、丁寧に除去して、乾かしてから再び貼付します。

1ヶ月ほどはテーピング固定を継続します

傷は術後1ヶ月ほどの間は表面は治癒していても、深部の反応は収まっていません。深部でより強く硬くなろうと組織修復が進んでいます。その時期に「外的な力:ひっぱられる力」がかかると、それに抗うように強く硬くなろうとして膨らみます。ミミズ腫れのような傷はこのようにして形成されます。

なるべく傷を綺麗にするには、術後3ヶ月ほどはテーピングしてもかまいません。手間はかかりますが、最初の2−3ヶ月は反応して硬くなる時期なので、テーピング固定が効果します。

ピタシートでしっかり固定を3ヶ月

顔の傷や、とくに綺麗にしたい部位の傷には、テープ固定よりもより強固な固定を推奨しています。ピタシート(ALCARE)という傷を固定する専用の固定素材があります。「ハイドロコロイド」という肌に優しい素材で、固定力のある適度な硬さで透明粘着型シート状になっています。

ピタシートもマイクロポアと同じく、傷に直接貼付して2〜3日毎に貼り替えます。こちらも剥がれなければ1週間ぐらい貼っていてもいいですが、テープよりも熱や水で溶けて剥がれやすく、交換頻度は多くなるかもしれません。貼ったまま入浴しても構いません。

シート表面のテカリが気になる方は、上から3Mマイクロポアテープ(茶色)で覆うようにテーピングしてもいいです。

傷が肥厚してきたらフィックストン圧迫

もしテーピングをしていても傷自体が肥厚してきたら、フィックストンというスポンジ型固定材料で創部を直接圧迫します。

使い方は、傷の上に細く切ったフィックストンを貼付して、上から3Mマイクロポアテープなどでフィックストンがペタンコになるくらいテープで圧迫固定します。

フィックストンのスポンジのバネ力がテープで押し付けられることで、肥厚してきた傷に圧迫力がかかり、平坦化してきます。マイクロポアやピタシートより少し手間がかかりますが、圧迫力をかけるにはテープ製品だけでは難しいので、膨らみ始めた傷には使用する価値があると思います。

膨らんでミミズ腫れになってしまった傷には圧迫療法が効果します。お腹の手術の縦に長い傷など、下着で圧迫されているところだけ綺麗に治っていたりするのはそのためです。

膨らんでしまった傷にはドレニゾン・エクラープラスター

すでに膨らんでミミズ腫れ状態になってしまった創部に対しては、ステロイド含有テープ剤(ドレニゾンテープ・エクラープラスターで隆起や反応を抑えることが効果的です。

ドレニゾン・テープは薄いフィルム状でステロイドの効果としては「中等度」です。

エクラープラスターは厚みがあるテープで、ステロイドの強さは「強め」です。

傷の大きさに合わせてハサミで切って、直接傷に貼付します。24時間ごとの交換が必要なので、入浴後などに習慣づけるといいと思います。ミミズ腫れ状態の傷は痛みや痒み、赤みなどが強いことがありますが、ステロイドテープ剤をしっかり1ヶ月ほど継続すると、痒みや痛みは軽減してくることが多いです。

見た目も半年ほど継続すると平坦になり、赤みも抑えられて目立ちにくくなってきます。一度膨らんでしまった創部は、膨らみが改善しても幅広の瘢痕状態が細くなることはなく、最終的的に見た目を線一本の傷に綺麗にするには再手術で瘢痕除去するしかありません。

膨らんだ傷跡に直接ケナコルト注射

分厚く膨らんでしまった傷跡にはステロイド(ケナコルト®)を直接傷跡の中に注射する治療があります。

注射によって赤みや盛り上がりは減少しますが、周囲の皮膚の菲薄化が生じることがあります。

また硬い瘢痕の中に注射するため、大変強い痛みを伴います。いきなり注射の治療を行うと、たいてい痛みが強すぎてその次の外来には患者さんが来なくなってしまいます。注射の前には痛みや、治療効果についてしっかり説明してから、希望される方には施行しています。

女性ではステロイドの影響で生理不順が生じることもあるため注意が必要です。

まとめ

次に同じことを起こさないように、術後のテーピング療法からしっかり後療法を行うのを推奨します。一度傷跡になってしまったとしても、諦めずに形成外科に受診しましょう。改善させる方法は色々あります。