対応可能な形成外科保険治療(1)|なかにし︎形成外科クリニック|近鉄生駒駅の形成外科・美容皮膚科

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対応可能な形成外科保険治療(1)|なかにし︎形成外科クリニック|近鉄生駒駅の形成外科・美容皮膚科

対応可能な形成外科保険治療(1)

2022年7月より保険診療はオープンします。形成外科の保険診療でどんな疾患に対応してもらえるのか、よくわからないという方も多いと思います。今回は形成外科で扱う疾患や治療について具体的な内容で紹介していこうと思います。

形成外科保険診療はとても幅が広く、1回で紹介しきれませんので、2回にわけて記事にしていこうと思います。

個別の疾患や治療については、今後もブログで紹介していきますので、ぜひ「LINE公式アカウント」に「友だち登録」をお願いします。

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皮膚・皮下腫瘍

一般市中病院の形成外科で最も多く目にする相談は、皮膚の「できもの」の治療のことでしょう。ほくろのようなもの、イボのようなもの、しこりのようなもの、色んな形状の「できもの」について相談があります。こういった「できもの」、医学的には「皮膚・皮下腫瘍」と呼びます。なかでも形成外科に相談される最も多い「できもの治療」は「粉瘤の手術摘出」です。

粉瘤とは?

患者さんにはいつも、「皮膚が一部まくれ込みを生じて、袋をつくったもの」と説明しています。イラストで説明します。(拙いイラストで申し訳ありません。)

上の図が粉瘤の断面イメージ図です。実態は中が表面になった皮膚のボールのようなものです。皮膚は代謝されて「垢」を出しますが、それらがボールの内側に溜まっていき、徐々にサイズが大きくなります。5年−10年ほどかけて1cm、2cmとサイズアップしていくものもあれば、ほとんど大きさが変わらないものもあります。

基本的に中に溜まっているものは「垢:いわゆる角質のクズ」なので、切って中身を出すと非常に臭いにおいがします。粉瘤の中央に「へそ」のようなまくれ込みの出口が開口しているときがあり、押し出すと中身が少し出たりします。「臭い汁がでるデキモノ」という訴えの場合は大抵、この粉瘤である場合が多く見られます。

色んな意見があるかもしれませんが、個人的には見つけたら「手術すべき」と考えています。

粉瘤は置いておくと大きくなります。当然ですが、大きくなってから摘出すると、術後のキズも大きくなります。小さいうちに小さいキズで治しておくのをお勧めします。

粉瘤の治療について

治療は手術が主です。理想的な治療法は、袋を含めて一塊に取ってしまう「完全摘出」です。袋が残ると、そこから再び再発することが多く、せっかく痛い思いをしても、数年後に再び同じ繰り返しを味わうことになります。

どんな状態でも手術で摘出できるわけではありません。真っ赤に腫れている状態では、いったん中身を「切開排出」してから、炎症を沈静化させて、後日完全摘出を行います。

ほとんどの場合に、日帰り手術で対応が可能です。小さいものなら30分程度で終わります。お気軽にご相談ください。参考までに手術費用も以下に掲載しておきます。

皮膚腫瘍・皮下腫瘍摘出術

K005 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)

  1. 長径2cm未満 1,660点 (3割負担:4980円)
  2. 長径2cm以上4cm未満 3,670点(3割負担:11010円)
  3. 長径4cm以上 4,360点(3割負担:13080円)

K006 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)

  1. 長径3cm未満 1,280点(3割負担:3840円)
  2. 長径3cm以上6cm未満 3,230点(3割負担:9690円)
  3. 長径6cm以上12cm未満 4,160点(3割負担:12480円)
  4. 長径12cm以上 8,320点(3割負担:24960円)

皮膚がんの治療

最近黒いホクロのようなデキモノが顔に出現、徐々に大きくなって時々血が出る。(基底細胞癌を疑う)


基底細胞がん

このような訴えの患者さんが来院され、年齢がご高齢であれば、問診だけでも「基底細胞癌」を気にしてしまいます。この時の形成外科医的なキーワードは「時々血が出る」です。

実は「ホクロが大きくなった」という訴えだけであれば、本当に「色素性母斑(ホクロ)」や「脂漏性角化症」という良性の皮膚腫瘍を思い浮かべます。これらは、見た目に目立つとか、引っかかるとか、かゆいなど、嫌な症状があれば切除しますが、そうでもなければ放っておいても特に問題はありません。

「出血する黒いデキモノ」は経験上かなりの確率で悪性の診断がつくことが多く、もし思い当たるようであれば是非形成外科受診をオススメします。基底細胞癌という、表皮の最下層である基底層や毛包などを構成する細胞から発生する皮膚癌は、顔面に多く、見た目はホクロと見分けがつかないことも多いです。

サイズが大きくなると中央から腫瘍が崩れて出血を伴うことがあり、見つけたらマージンを2−3mm程度とって完全切除します。

きちんと取り切れているかを「病理検査」で確認してから、欠損の埋め合わせ手術(再建術)を行います。病理検査では標本の端や深部を顕微鏡で観察し、癌細胞が顔を出していないかをチェックする作業です。もし断端が陽性(+)であれば、そのまま再建してしまうと再発の可能性が非常に高まります。追加切除が必要ということになります。

昔の傷跡や火傷の痕が最近膨らんできて傷になってきた。(有棘細胞癌を疑う)


有棘細胞がん

体に小児期に火傷や大きな怪我をした痕があり、特に今まではなんともなかったが、最近になり傷跡の一部が膨らんでミミズ腫れのようになり、クレーターのように中央が傷になってきた。こういうエピソードを聞くと、形成外科的には有棘細胞癌を疑います。

先に挙げた基底細胞癌よりも、ホクロっぽくはなく、表面がジュクジュクしているような、治りにくい傷のような状態で来院されることも多く、見た目は多様です。指先の爪の下から汁が出てきたことから有棘細胞癌が発見されたりすることもあります。

このデキモノも、やはり「血が出る」などのキーワードが伴う場合は要注意になります。血が出るデキモノは、やはり普通ではありません。とりあえず形成外科に相談するのがよいでしょう。

皮膚にカサカサしたところができて、いつまでも治らない(日光角化症・ボーエン病)


ボーエン病(上皮内癌)

顔や足にカサカサしたところができて、皮膚炎かなとおもって軟膏を塗布していたがいつまでたっても治らず、少し範囲がひろがっている。こういった症状のときには日光角化症・ボーエン病のような上皮内癌を疑います。表層の浅いところのみにとどまる皮膚癌であり、見た目はカサカサしているだけのような状態でそんな悪性のものとは思えないかもしれません。しかし放っておくと徐々に増殖して深くなり、大きく切除する必要が出てくる可能性があります。

眼瞼下垂症

眼瞼下垂の診療には、2015年に奈良に赴任してからまぶた専門外来を立ち上げ、注力してきました。おかげさまで、患者さんもたくさん来院していただいています。相談に来られる患者様は、大半は手術を決めてから来院されます。中には説明を聞いて、抱いていたイメージと異なるため、もう少し待機を選ぶ方もいらっしゃいます。特に悩まれる「今すべきなのか、もう少し後の方がよいのか」という点について、診療にあたる形成外科医の視点から説明します。

来院される方が主に手術を決めた理由

もっとも多い理由は、当然ですが「視野が狭くなり日常生活に支障を来す」というものです。しかし、その「日常生活の支障」の具体的な事案については個人によって様々です。実際にあった訴えとしては

「テレビが見にくい」「本が読みにくい」

「写真でいつも目を閉じているように写っていて嫌だ」

中でも割合が高い訴えが、

「眼科の診察時に、目を開けているのに『目を開けてくださいねー』と言われて上まぶたを引き上げて抑えられるのが苦痛」

そして、意外に多くてちょっと怖い訴えが

「車を運転しているときに、信号を見落とす」

高齢者の方の交通事故が話題になることがありますが、眼瞼下垂も一つの要因になっているのではないかと思ってしまいます。免許センターでは視力しかチェックされませんが、眼瞼下垂についても運転免許の発行時に評価して欲しいものです。

手術の適応があっても最終的に手術するかどうかを決めるのは患者さん本人です。

手術を受けることで得られるもの

当院では主に「挙筋前転術」「眉下皮膚切除術」を、患者さんの状態にあわせて実施しています。

「挙筋前転術」を受けられた場合、余った皮膚の切除と弱った眼瞼挙筋の付け直しを行うので、目元のたるみはすっきりして、今までよりも楽に目が開くようになります。

「眉下皮膚切除術」は、目元の外上側の余剰皮膚が多い方や、目を開ける筋肉はあまり弱っていないが、皮膚のたるみにより視野が妨げられている方に適応があり、これまで皮膚によって「庇(ひさし)」のように覆われていた部分が開けて、見える範囲が広くなります。

いつ手術するべきなのか

まずは手術適応があることが前提ですが、それについては医師が判断します。たとえ手術適応があっても、いざ手術する時期を決めるのは患者さん本人です。

当然、眼瞼下垂の手術は「急ぐ」必要はありません。放っておいても命には影響しません。

よく外来で私が患者さんに言うのは「病院に相談に来るほど、眼瞼下垂で嫌な思いをされているのであれば、手術を受けられる時期だと思いますよ」ということです。

眼瞼下垂は、「これ以上ひどくなったら手術」という線引きが不明瞭な疾患です。だから、不具合を感じるようになった時が手術を受ける時期というのも一つの考え方だと思います。

個人的な意見ですが、「信号が見えない」と言ってくる患者さんには「ぜひ手術してください」とお願いしています。

参考までに手術点数の費用を以下に記載しておきます。眼瞼下垂は日帰り手術で対応可能です。

眼瞼下垂症手術

K219 眼瞼下垂症手術

  1. 眼瞼挙筋前転法 7,200点(3割負担:21600円、左右で43200円)
  2. 筋膜移植法 18,530点(3割負担:55590円)
  3. その他のもの 6,070点(3割負担:18210円、左右で36420円)

下肢静脈瘤

足の膝下(下腿)あたりに、血管がボコボコと浮き出てきていませんか?静脈が拡張してコブを作った状態で、「下肢静脈瘤」と言います。生駒市立病院では形成外科で治療を行なっています。最近では下肢静脈瘤の治療は「血管内焼灼術」という方法が主流です。皮膚を切らずに針(カテーテル)を刺し、悪くなった血管の中にカテーテルを通すことで治療が可能です。血管内焼灼術はどこの施設でもできるわけではなく、実施認定施設でのみ対応が可能です。症状と治療法、その後のケアについても紹介します。

下肢静脈瘤の病態と症状

下肢静脈瘤の原因になりやすい血管は主に2つ、足の付け根(鼠径部)から太ももの内側を通り、膝下内側に続いている「大伏在静脈」と、膝裏中央から下腿裏面を通り、足首まで続いている「小伏在静脈」です。

根本的な静脈瘤の「病態」は、一言で言うと「静脈の逆流」です。上記2本の血管は末梢から心臓に帰っていく血流を有していますが、血管内部の逆流防止弁が年齢やホルモンバランス、立ち仕事の負荷などで弱くなり、破綻することで血管内で血液の逆流が生じます。結果として、血液が渋滞を引き起こし、膝下で圧が高まり、血管の壁が膨らんでコブになります。

静脈瘤の症状で、もっとも多いのは「こむら返り」に悩まされることでしょう。夜中に足がつって目が覚めることはありませんか?1週間に何度も続くようなら一度調べてみるほうがいいかもしれません。

他にも、「足がだるい」「かゆみ・むずむず感」などの症状が出ることがあります。長期間治療しないでいると、慢性炎症状態を引き起こし「色素沈着」が出てきたり、小さな傷がなかなか治らない「鬱滞性潰瘍」につながることもあります。

静脈瘤で命を落とすことは、ほとんどありません。しかし、高齢者が静脈瘤を発症した場合、上記のような症状のため生活の質は低下し、歩行機能に影響する場合も見られます。足以外はお元気なのに、静脈瘤のせいで車椅子生活を余儀なくされ、そのまま寝たきりへ、という状況にもなりかねません。発見したら、治療をしておくことがよいでしょう。

血管内焼灼術の実際の流れ

静脈瘤は最近では血管内焼灼術という治療を行われることが多くなってきました。逆流を生じた血管の末梢からカテーテルを入れて、血管の根本付近から1本まるまる「中から焼却」して血管自体の流れをなくしてしまいます。

当然、その他の健常な血管には影響しないように、悪くなった血管だけを焼いて閉塞させてしまう治療です。以前は、鼠径部と膝下の2箇所を皮膚切開して、血管そのものを抜去する「ストリッピング 」という治療が主でしたが、ここ数年で血管内焼灼術のほうが圧倒的に多くなりました。

治療後のケア

術後は1週間後くらいまでは包帯で圧迫を継続します。シャワー浴は可能で、その時だけ包帯を外してOKにしています。1週間後からは、「弾性ストッキング」という加圧ソックスを履いてもらいます。市販品でいうところの「スリムウォーク」のような圧迫が効いた靴下です。

ストッキング様の素材のものと、普通の靴下素材のものがあり、男性の方には靴下タイプをお勧めしています。

術後1ヶ月は必ず履いてもらう様に指導しており、それ以後は「長距離おでかけするとき」や「立ち仕事」のときに履いてもらう様にお伝えしています。

弾性ストッキングはサイズ選びが重要です。当院では術後の方は1週間後の受診の際にくるぶしの周径と、下腿中央の周径を測定してサイズをきっちり選びますので、ご安心ください。

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