睡眠と美肌
睡眠と美肌
「施術を受けたのに、思ったほど効果を感じられない」
「肌の治りが遅い気がする」
―― その原因のひとつに、睡眠の質が関わっている場合があります。
どれほど優れた機器や薬剤を用いても、体の回復力そのものが低下していては、施術の効果は十分に発揮されません。
今回は形成外科・美容皮膚科の専門医として、「睡眠」と「美容医療」の意外なつながりについて、医学的な根拠を交えてご説明します。
睡眠不足を侮ってはいけません。
睡眠不足になると、体のホルモンのバランスが乱れ、異常な免疫状態に陥り、体から様々なアラートが発せられるようになります。
いわゆる「黄色信号」

自然界の動物なら、この時点で体を丸めてじっとしてしっかり眠ります。
しかし人間だけは、「仕事」や「娯楽」で体の発する黄色信号を無視して睡眠不足を重ねてしまいがちです。
黄色信号は、徐々に症状を重ねて、ある日突然限界を超えて重度な症状として現れます。

睡眠だけが影響するわけでは決してありません。しかし、睡眠が体全体の免疫やホルモンバランスを乱すことで、思いもよらずに重篤化することは実際の臨床現場でもよく遭遇します。
振り返ってみれば、必ずといっていいほど「複数の黄色信号」が体から発せられていることに気が付きます。
ぜひ重篤化する前に、黄色信号の時点で体の悲鳴に耳を傾けてあげましょう。


質のよい睡眠をとるために、「最も重要なポイント」は
眠り始めの90分の質を高める
ことです。

睡眠の最初の90分にくる「ノンレム睡眠(深い睡眠)」はN3と呼ばれます。以下は院長中西の「とある日」の睡眠時脳波グラフです。

赤丸つけたところが最初の90分のN3睡眠です。
ノンレム睡眠のなかでも最も深い睡眠です。
このN3がくる最初の90分がしっかりとれると、
などが最大化されます。
何も考えずに適当に睡眠に入っているようでは、最高の質の高い睡眠は得られません。
自然に深く眠れる状態を「戦略的に」作る必要があります。


眠る予定の1時間30分前に「40度のお風呂に15分程度入って体温を0.5度上げておく」ことがポイントです。一度上がった深部体温が下がっていくときに布団に入って、入眠しましょう。普段よりも深い眠りに入ることができるはずです。
寝る前のスマホやカフェインはNGです。とくにベッドに入ったあとのスマホから発する【ブルーライト】は最初の90分の睡眠に悪影響します。寝る前にはスマホは封印しましょう。


最初の90分のゴールデンタイムを確保したあとは、「睡眠の量」にもこだわりたいです。体が欲している睡眠時間を満たしてあげることで、自然と体のアラームは収まります。
数々の睡眠時間を研究された書籍、論文がりますが、一様に「7時間以上」の睡眠時間が推奨されています。
毎日が無理でも、週に2-3日は7時間睡眠をしっかりとれる日を作ってみましょう。

朝起きたら、一番に窓のカーテンを開けて、朝日を体全体で浴びましょう。軽く外を散歩するのもいいかもしれません。ちなみに院長中西は朝の犬の散歩を日課としています。その時に毎朝、しっかり朝日を浴びるようにしています。とても気持ちがいいですし、目が覚めますので皆さんもぜひやってみてください。科学的にも朝日を浴びると睡眠を誘発するメラトニンというホルモンが減少して、体が覚醒に動くことが証明されています。
眠り始めの90分間の深いノンレム睡眠(N3)中には、成長ホルモンの70〜80%が分泌されるといわれています。
成長ホルモンは、肌のターンオーバーやコラーゲン生成、傷や炎症の修復を助ける、いわば「肌の回復エンジン」です。
睡眠不足でこの最初の90分が浅くなると、この回復エンジンが十分に働かず、レーザー治療や注入治療、ピーリングなどによる肌の再生・炎症の鎮静化が、本来のペースで進みにくくなる可能性があります。
睡眠不足が続くと、ストレスホルモンであるコルチゾールの上昇や交感神経の緊張、炎症性サイトカインの増加、免疫細胞(NK細胞)の機能低下が起こることが、睡眠研究の専門家(マシュー・ウォーカー氏、柳沢正史氏ら)により指摘されています。
これらは自律神経の乱れや「創傷治癒の遅延」「感染しやすさ」につながるとされ、美容施術後のやけど、水疱、皮膚炎といった合併症のリスクにも無関係ではないと考えられます。
睡眠不足が続くと、下記のような体からの小さな警告サインが現れることがあります。
施術前のセルフチェックとしてご活用ください。
睡眠は、特別な機器や費用をかけなくても、今日から始められる「無料の美容医療」ともいえます。
ポイントは睡眠時間の長さそのものより、眠り始めの90分をいかに深くするか。
この90分間に深いノンレム睡眠がしっかりとれると、
成長ホルモンの分泌
肌の修復
自律神経のリセット
免疫力の向上など が最大化されます。
以下の5つを意識するだけでも、眠りの質は大きく変わります。

生活習慣を整えても改善しない一時的な寝つきの悪さ・眠りの浅さでお悩みの場合、当院では美容医療の一環として、睡眠導入薬を自費診療でご提案することがあります。
当院はあくまで形成外科・美容皮膚科・美容外科のクリニックであり、不眠症そのものの診断・治療を行う精神科・心療内科・睡眠専門外来とは役割が異なります。
そのため保険診療の対象とはせず、まずは1〜2週間程度の短期間・自費でのご提供とし、施術効果を高めるための「肌のコンディション調整」としてご案内しています。
| 分類 | オレキシン受容体拮抗薬 |
|---|---|
| 代表薬 | ボルズィ、ロゼレム、デエビゴ など |
| 特徴 | 覚醒を保つ「オレキシン」という物質の働きを穏やかに抑え、自然な眠気を引き出すタイプ。新しい薬剤ほど体内から抜けるまでの時間が短く設計されており、翌朝への影響を抑える工夫がされています。 |
| 分類 | メラトニン受容体作動薬 |
| 代表薬 | ロゼレム |
| 特徴 | 体内時計を整えるホルモン「メラトニン」の受容体を刺激するお薬。依存性がほとんどないとされる点が特徴です。 |
| 提供方法 | 自由診療(保険適用外)。まずは1〜2週間分程度からご案内し、継続の要否は経過を見ながらご相談します。 |
| お薬(1錠あたり) | 料金(税抜) |
|---|---|
| ロゼレム 8mg | 4,000円 |
| ボルズィ 2.5mg | 4,000円 |
| ボルズィ 5mg | 5,000円 |
| デエビゴ 5mg | 5,000円 |
※上記は税抜価格・1錠あたりの目安です。処方数は1〜2週間分を基本とし、診察のうえで決定いたします。
「なんとなく寝つきが悪い」「施術前だけ整えておきたい」といった段階でも構いません。美容施術の効果や安全性を高めるための選択肢として、お気軽にご相談ください。